親からもらったお金は離婚する時に財産分与対象になるの?

離婚する時に決めなければならないのが財産分与ですが、
ここで疑問になるのが婚姻中に親からもらったお金に関することです。
妻の両親や夫の両親がマイホームを購入する際に資金を援助してくれたり、
両親が生活費を援助してくれたという家庭は少なくありません。
このように両親からもらったお金は離婚する際にどのように計算すれば良いのでしょうか?
例えば妻の両親が援助をしてくれた場合、妻の主張は「両親は私に対して援助してくれた」となりますし、
夫の主張は「夫婦に対して援助してくれた」となった場合、どちらの主張が正しいのでしょうか?
それでは確認していきましょう。

 もくじ

1:共有財産か特有財産か?

離婚時の財産分与で重要なのは、その財産が夫婦の共有財産か?夫婦どちらか個人の特有財産なのか?というのがポイントになります。
夫婦の共有財産であれば、財産分与は基本的に2分の1ずつ夫婦で分けることになりますが、
個人の特有財産の場合はその人個人の財産ですので離婚時の財産分与の対象とはなりません。
財産分与についてはこちらの記事もご覧ください。

2:両親からもらたお金は基本的に特有財産

両親からもらったお金は基本的に特有財産として扱われます。
理由は「その親がその子に対してあげたお金」となり贈与したということになるからです。
贈与は財産を受け取る本人だけの権利であると考えられます。
しかし、離婚の際に相手方が「夫婦にくれると言ったお金だ!!」と共有財産として主張してくることがあります。
もし、裁判になった場合は、親からの贈与であることを立証する証拠が必要になります。
贈与してもらった特有財産だという証拠がなければ、共有財産と判断される可能性もありますので注意が必要です。

3:生活費を援助してもらっていた場合は?

夫婦の経済状況によっては、両親から生活費を援助してもらうこともあるでしょう。
妊娠出産時の支度費としてお金をもらったり、
夫婦のどちらかが働けない状況の時の生活費を援助してもらったという場合はどうなるのでしょうか?
この場合は夫婦が生活するためのお金を援助してもらったということになりますので、夫婦の共有財産として判断されることが多いようです。
生活費を援助するということは、夫婦の共同生活のため、あるいは子供も含めた家族の生活を助けることが目的だからです。

4:子供に対してもらったお金はどうなる?

おじいちゃんおばあちゃんが孫の教育資金を援助してくれるという事もあるでしょう。
30歳未満の子供や孫の教育資金を信託銀行等に信託する「教育資金贈与信託」という制度を利用すれば、1,500万円まで贈与税が非課税となります。
このように、孫が贈与または贈与を目的とした信託を受けた教育資金は、
孫の固有財産となり夫婦の共有財産ということにはならないようです。
高校や大学等、まとまったお金が必要になる際は、
おじいちゃんおばあちゃんが「高校のお金に使いなさい」「大学の入学金を払ってあげる」という明確な使い道を伝えたうえで、
孫に直接お金を渡すこともあると思いますが、
孫がまだ小さいうちに漠然と「子供のために使いなさい」とくれたお金は夫婦の共有財産として判断される事もあるようです。
子供の年齢や使用用途が決まっていたかどうか等によって判断が異なることもあるのでこちらも注意が必要です。

5:住宅ローンの頭金を援助してもらった場合

夫婦が夢のマイホームを購入する。その時には両親が頭金を援助してくれる家庭もあるでしょう。
マイホーム購入の際に両親が援助してくれた頭金は個人の特有財産ということになります。
では財産分与の例を一つ確認してみましょう。

・住宅購入費=3,500万円
・頭金(妻の両親からの援助)=500万円
・頭金(夫婦の貯金)=500万円
・離婚時の住宅ローンの残り=2,000万円
・離婚時の住宅査定金額=3,000万円
①離婚時の住宅査定金額3,000万円から住宅ローンの残り2,000万円を引く=1,000万円
②住宅の価値が購入時を100とすると85に下がっているので、両親から出してもらった頭金の500万円に0.85をかける=425万円が妻の特有財産分となる
③1,000万円から妻の特有財産分の425万円を引く=575万円
④575万円を2分の1で夫婦で財産分与する=1人287万5千円
※上記の計算は簡易的な計算です。実際には住宅売却の手数料等の計算も必要です。

6:相続したお金は個人の特有財産

婚姻中に妻または夫の両親が亡くなって遺産を相続した場合は、その遺産は相続人の特有財産ということになります。
相続した遺産は相続人が結婚していても独身でも変わらず相続していたものですので夫婦の共有財産ということにはならず、
相続した人個人の特有財産になり、離婚時の財産分与の対象にはなりません。
しかし、遺産を手に入れた後にその財産の維持に特別な貢献をしていた場合は、離婚時の財産分与で考慮されることもあります。
この特別な貢献とはどのような行為が該当するのかはそれぞれのケース毎に異なりますので、
弁護士さんに相談されることをおすすめいたします。

7:財産分与の話し合いでもめたらどうする?

離婚時に話し合いで折り合いが付きにくいのが財産分与の問題でもあります。
特に親からもらったお金は「個人でもらったもの!」「夫婦にもらったもの!!」と意見が食い違うこともあるでしょう。
お互いに思い付いた事を都度感情的になって話し合っては、まとまる話もまとまりません。
財産分与の話し合いには準備が必要です。しっかりと準備をしてから話し合うことで冷静になって話ができるようになるでしょう。
親から援助してもらったお金だけではなく、すべての財産をノートに書きだして夫婦で一緒に確認することで、
「〇〇をくれるなら両親からもらった頭金は特有財産でもいいよ」という話でまとまりがつくこともあります。
財産分与の話し合いをする時には、財産一つに対して話し合うのではなく、
離婚時の条件すべてをテーブルに出して話をすることでお互いに冷静にって話をすることができる事もあるのです。

 

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