離婚協議書や公正証書のサンプルやひな形を確認すると、必ずある項目が「清算条項」です。
協議離婚する時に、夫婦間で離婚の条件について話し合いをしますが、
それを離婚協議書や離婚公正証書の書面にする際には最後に清算条項という項目が入ります。
清算条項とは、離婚協議書や離婚公正証書に書いていること以外は夫婦二人の間に何の請求権もないですよ。ということを包括的に確認することになるので、
実はたいへん重要な項目なのです。
この記事では離婚協議書、離婚公正証書に記載される「清算条項」について詳しく解説していきます。

 もくじ

1:離婚条件を確定させる

せっかく決めた離婚条件も、離婚後にどちらかの主張で簡単に変更できてしまっては意味がありません。
慰謝料を請求しないと決めて、離婚協議書に慰謝料に関する項目を書かなかったけれど、やっぱり離婚後に慰謝料をほしいと言われたら、
せっかく離婚条件について取り決めた書面を作成したのに何の意味があったのか。。。となってしまいます。
清算条項を含めた離婚協議書、離婚公正証書を作成することで、書面で定めた条件のほかには、お互いに金銭その他の請求をすることができなくなります。
ここに書いてある項目以外のことは後で言っても認められないよ!ということです。

2:財産分与は離婚後2年間請求できる

財産分与の取り決めをせずに先に離婚をした場合、離婚が成立した日から2年間は財産分与の請求ができると法律上で認められています。
しかし、離婚時に清算条項が入った離婚協議書、離婚公正証書を作成しておくことで、離婚後は書面に書いていない項目以外の財産分与の請求をすることはできないということになります。
離婚後2年以内でもできなくなるということです。
離婚条件を決めたあとの金銭請求などのトラブルを予防するのが清算条項と考えるとわかりやすいでしょう。

3:離婚条件を十分に確認すること

上述したように、本来であれば離婚が成立した日から2年間は財産分与の請求ができるのですが、
清算条項が入った書面を交わすことにより書面に書かれていない項目の請求はすることができなくなります。
そのため、離婚の条件を十分に確認していなかったり、相手が用紙した書面に勢いで合意をしてしまい、
あとから「やっぱり貯金もうちょっとあったはずだよね。」などと話をしてもその請求は認められなくなるということです。
清算条項の入った書面に合意するということは、ここに書かれていることで全部です、他にはありません。という意味を持つことになりますので、
忘れている財産はないかどうかしっかりと確認をすることが重要です。

4:安易に財産分与を放棄しない

夫婦の貯金はあまり無いと思っていて、預貯金の財産分与はいらないと取り決めても、実は配偶者はかなりの額を貯金していてそれを隠していたということもあります。
しかし、清算条項が入った書面を交わすと離婚後に「知らなかったからお金をください」とは言えなくなってしまいます。
配偶者が貯金をしていたとしても、それはどんな金額でも必要ない。と心に決めっているのであれば良いですが、
そうでなければ安易に預貯金はいらないという判断はしないほうが良いでしょう。

5:持家は査定額を調べておく

持家の権利はたいていは、離婚後に持家に住み続けるほうが権利をもち、引越すほうが持家の権利を放棄することになります。
しかし、離婚後に友人から「あのマンション、売れば買ったときよりも高く売れたのにお金もらってないの!?」と言われて、
「そんなに高いなんて知らなかったからその分のお金をちょうだい」は通用しないのです。
離婚時に持家がある場合は必ず査定をして離婚時の持家の価値がどのくらいあるのかを把握しておきましょう。
住宅ローンの残債と比較して売った時に売却益がでる場合はその売却益の2分の1のお金を財産分与でもらうか、他の財産で調整したりする話し合いになるでしょう。
しかし、査定の金額を知らないまま住宅ローンを払わなくてもいいなら権利はいらない。と単純に考えていると、
配偶者の思うままに財産分与が決まり結果として損をすることにもなりかねません。

6:財産や不倫を隠されていたら?

清算条項の入った書面を作成した後で、相手方に隠し財産があったり、婚姻中からの不倫が発覚したらどうなるでしょうか?
相手が悪質な方法で財産を隠したりしていたために、相手に財産がないと勘違いして離婚時に財産分与の請求を放棄してしまった場合は、
錯誤や不法行為を主張できる可能性がありますが、清算条項を覆すのは難しいという側面があります。
不倫も同様に相手方が悪質な手口を使って不倫を隠蔽し、離婚の理由をでっちあげて離婚に同意させた場合も錯誤を主張できる可能性はありますが、
一度離婚に同意してしまっているので慰謝料の請求はハードルが高いかもしれません。
どちらも実際に争うときは弁護士さんに相談をすることになりますが、財産や不倫を隠している可能性が少しでもあるのであれば、
問題がクリアになるまで離婚には合意しないほうが良い場合もあるでしょう。

 

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