子供がいる離婚で決めなければいけないのは親権です。
離婚後は父親と母親は別居することになりますので、
子供がどちらと暮らすのか?父親と母親のどちらが親権を持つのかは離婚をする時にまず考えなければならない事でしょう。
母親として、子供を引き取って一緒に暮らすと考えているのに、
突然夫から「離婚をするなら子供は渡さない。お前が一人で家から出ていけ!!」と言われたらどうすれば良いのでしょうか?
父親が親権を取ることもできるのか?と心配になりますよね。
それでは確認をしていきましょう。
もくじ
1:親権とは?監護権の違いは?
子供と一緒に暮らして子供の世話をしていくことを実は「監護権」というのです。
そして、子供の監護権を行使する人を「監護者」といいます。
では「親権」とは何でしょうか?
親権とは、親が未成年の子どもを監護・養育し、財産を適切に管理する権利と義務のことです。
親権を行使する人を「親権者」といいます。
このように親権と監護権は別々なのですが、一般的には親権者と監護権者は同じ人となることが多いです。
何らかの事情で子供と同居する母親が監護権者となり、子供と別居する父親が親権者となる場合もありますが、
こういったケースはよほどの事情がない限りはありません。
※参考 親権者(法務省)
2:親権争いは子供が小さいほど母親が有利
話し合いで親権が決まらず、調停や裁判に進んだ場合、
子供の年齢が小さいほど子供は母親と一緒に暮らしたほうが良いという考え方があり、基本的には「母親が親権獲得に有利」となります。
実際、令和2年の司法統計によると母親が親権を獲得したケースが約9割ということになっているようです。
父親がフルタイムで働いている家庭は子供が産まれた時から母親が24時間子供の面倒を見て子供と一緒に過ごす時間も多いことでしょう。
赤ちゃんの頃からずっとママと一緒だった子供にとっては母親と一緒に生活することが子供にとって良いという考え方にもなりますね。
3:子供が15歳以上の場合は子供の意思がポイント
親権の争いが裁判にまで発展した場合、子供が15歳以上の場合には高い確率で子供の意思にしたがった判断が下されているようです。
15歳以上であれば、冷静に父親と母親、どちらを親権者とするか子供自らが考えて判断できると考えられているからです。
15歳未満の場合でも、10歳を超えるくらいの年齢であれば、
ある程度は判断能力があるとみなされるので、子供の意見を参考にして判断することもあるようです。
しかしながら、両親の離婚で自分の親権について争いが生じ、
自分の口からどちらと同居したいのか?と答えさせることは子供にとって酷なことでもあるでしょう。
子供は静かに冷静に両親の状況を観察しています。
自分がどちらと暮らしたいのかだけではなく色々な事を考えています。
子供の意見を尊重するのも大切ですが、子供が決めなければいけないという重圧を背負わせることのないよう、
子供の心の状態を最大限に考慮して親権者を決めることが何よりも重要です。
4:父親が親権を取るのは難しい
母親がメインで子供の面倒を見ていた場合、父親が親権を取るのはなかなか難しいようです。
そもそも、正社員フルタイムで仕事をしている父親が突然、仕事と家事と育児のすべてを担うには無理がありますので、
生活をサポートしてくれる両親や兄弟姉妹の存在は重要になってきます。
また、仕事も場合によっては、家事育児を優先できる部署に異動したりする必要もでてくるかもしれません。
父親が子供を育てるにはまず子供を育てる環境を整えることから始める必要がありますのでなかなか難しいところがあるでしょう。
5:母親がうつ病で心療内科に通院している場合
うつ病で心療内科に通院している母親は、
「うつ病が原因で夫に親権をとられるのではないか!?」
と心配している方もいるでしょう。
うつ病だからと言って、必ず親権を取られるということではありません。
一言にうつ病といっても症状や状態は人それぞれ違うからです。
ポイントは子供の面倒を見る事に支障がないかどうか?というところです。
うつ病で定期的に通院をしていたとしても、日常の家事や育児に全く問題がなければ子供を育てることに問題はないと判断される可能性があります。
しかし、子供の食事の準備やお風呂に入れることができない、家がゴミ屋敷状態など、子供の生活環境に問題があると判断される要因があれば、
父親と生活するほうが子供に良いということになる場合もあるでしょう。
夫がうつ病を理由に親権を主張してきた場合は、裁判になった時のために、日常の家事や育児がきちんとできているという証拠として、
日記や写真等を集めておくのも一つの方法です。
6:子供との面会交流を拒否していませんか?
離婚後は父親と子供を会わせたくないと考える母親もいるでしょう。
しかし、面会交流は子供のためにも実施することが望ましいものです。
離婚したら子供に会わせてもらえなくなるという思いから親権を主張する父親もいます。
親権を主張する父親にとって子供との面会交流の頻度等の面会交流の条件はとても大切です。
面会交流の希望をしっかりと聞いて要望を汲むことで納得してもらえる事もあります。
※参考 親子交流(面会交流)(法務省)
7:夫の同意なく子供を連れて別居はやめましょう
子供の連れ去りという言葉が最近はニュース等で取り上げられるようになりました。
妻が夫の同意なく子供を連れて家から突然出て行くのが子供の連れ去りといわれるものです。
この場合は夫が弁護士を依頼して「妻が子供を勝手に連れ去った!!」と主張すると大事になりますし、
そのまま弁護士が妻には子供を育てる能力がないと証拠を集めて主張したりすると、子供の親権を父親がとることもあり得ないことではありません。
夫のDVが原因で逃げなければいけない時は、行政や警察の相談機関に相談をしましょう。
子供の連れ去りと夫に指摘されるような行動は避けるべきです。
8:夫が弁護士を依頼したら
夫が弁護士を依頼したら、妻も弁護士を依頼したほうが良いでしょう。
弁護士の中には父親の親権獲得に強い方もいますので、そのような弁護士相手に戦いを挑むのは危険です。
こちらも弁護士を依頼するのが良いでしょう。
また、裁判になった場合は証拠がすべてです。
裁判になってから証拠を集めようと思ってもなかなか難しいものですので、
日常的に家事や育児をやっている事実や家事や育児の状況をきちんと記録しておくことはとても大切です。
離婚・夫婦問題でお悩みの方はお一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。